生脈散が糖尿病の症状改善に効果

6 月 27th, 2009

 日本の糖尿病患者は、一説によると600万人を超えるといわれ、この30年間で約100倍に増えた。21世紀には、成人の4人に1人が糖尿病を患うともいわれ、まさに国民病の様相を呈している。

 経済の豊かさや文明の発達に伴う過食、肥満、運動不足などが主な原因といわれるが、日本でこれほど際立った増え方をみせているのは、ストレスの影響がかなりのウェイトを占めるものと思われる。強いストレスを受けると、グルカゴンやアドレナリン、副腎皮質ホルモンが多量に分泌され、血糖値が上がる。そして、緊張が持続すると高血糖が続き、糖尿病を発症しやすくなるといわれている。血糖が高いと尿量が増えるため、水分が奪われて、口渇や皮膚の乾燥、のぼせ、ほてり感などの漢方でいう陰虚(体液不足)の症状がでてくる。また、相対的にインシュリンの件用が不足するため、糖や脂肪・蛋白質の代謝に障害が起こり、全身倦怠感、脱力感といった気虚(元気不足)症状も出てくる。これは浜方でいう気陰両虚の証に相当する。

 中国で糖尿病治療に、気陰両虚証の基本処方である、生脈散の加減方がよく用いられるのはこのためである。生脈散(麦味参顆粒)中の人参は気を補い、全身倦怠感を改善し、五味子・麦門冬は津液(体に有用な水分)を増やし、口渇を改善する。いずれの生薬にも、緩やかな血糖降下作用があるので、自覚症状の改善だけでなく、一定の総合効果も期待できる。

「飲む目薬」の異名を持つ杞菊地黄丸

6 月 15th, 2009

 体の各部は、すべて有機的なつながりをもつと考えている中国漢方では、内臓と五竅(感覚器官)との関連を重視している。古典に「肝は目に竅を開ける」という言葉があるように、目は肝とのつながりが深い。

目と内臓のつながりを、「瞳孔は腎、黒眼の部分は肝、白眼の部分は肺、目頭と目尻は心、瞼は脾(消化器系)」といったように、さらに詳しく関連づける考え方もある。いずれにしても、目の健康にとっては、瞳孔-腎、黒眼-肝の関係が重要である。

「肝腎かなめ」と言われるように、生命活動の中心に据えられる肝と腎は、働きを補い合う臓器でもある。目についていえば、腎に蓄えられた腎精は、肝の血と協力しあって眼に精血(栄養分)をおくり、目の代謝を促進している。

 目の使いすぎは、精血を消耗させ、疲れ目・視力の減退といった目の異常につながる。さらに、加齢による肝・腎の衰えは、老眼や老人性白内障の引き金にもなる。

 肝と腎の働きを同時に強める処方といえば、六味地黄丸に枸杞子と菊花を加えた、杞菊地黄丸がその代表格である。処方のベースとなる六味地黄丸と枸杞子には、肝腎を養い糖血を増やす作用があり、菊花には目をすっきりさせ、充血を抑える働きがある。目の症
状改善に幅広く応用できる杞菊地黄丸には、「飲む目薬」 の異名さえある。

目薬というと点眼薬を思い浮かべるが、点眼薬で症状が改善しない人は内臓から治療したい。

肝・胆の亢進を抑えれば耳鳴り軽減

6 月 2nd, 2009

耳鳴りには、精神的な要因からくる実証タイプのものがある。怒りや、精神的ストレスなどがきっかけとなって、急に始まることが多い。ザーザーという波音や、ゴロゴロと宙のような音に聞こえる場合が多く、耳のまわりに張りや痛みを伴うこともある。さらに、手で耳を押さえても症状が軽減しないのも特徴の一つだ。

 実証のタイプの耳鳴りの治療ポイントは、肝と胆である。人体には、気血を運行させる経絡が、網の目のように張りめぐらされており、内臓と体表、体の上部と下部などをつないで、一つの整体を形づくっている。

 このうち耳鳴りと関係の深いのは、側頭部から耳を通って足まで走る胆系の経絡である。
「肝胆あい照らす」という言葉があるように、五臓六腑のなかでも肝と胆は緊密な関係にあり、どちらも精神作用と強く結びついている。

 精神状態の不安定な人、短気な人は、肝や胆の働きが亢進して、イライラ感、怒りっぽいといった興奮症状が出やすく、肝・胆系の経絡を通る気血の流れを乱し、耳鳴りを誘発する。

 このタイプの耳鳴りの治療には、肝や胆系に作用し、自律神経の興奮を抑制する竜胆草(リンドウ) の根を配合した、竜胆瀉肝湯のような処方がよく用いられる。