蓄膿症を抑え、鼻の通りをよくする生薬

9月 23rd, 2009

鼻の病気といえば、春先のアレルギー性鼻炎が話題の中心だが、蓄膿症で悩んでいる人も少なくない。蓄膿症は、細菌の感染によって起こる副鼻腔の炎症で、頑固な鼻づまり、頭痛などを伴い、思考力にも影響を与える。

蓄膿症は、中国漢方の古典『黄帝内経』 に、〝鼻淵″として記載されている。「淵」には「深い」という意味があり、水の澱んだ状態を表している。つまり、鼻淵とは、濁った鼻汁が多量にたまる病気ということだ。

蓄膿症の原因を中国漢方の立場からいうと、外因としては「風熟」が考えられる。風熱とは、細菌感染による炎症のことである。治療薬として、西洋医学では抗生物質を使うが、中国漢方の処方に鼻淵丸という薬がある。鼻淵丸の処方構成は、大きく二つのグループに分類される。一つは菊花、金銀花などの、炎症を抑え、抗ウイルス・抗菌作用を持つ生薬。もう一つは辛夷や蒼耳子などの、鼻腔の通りをよくする生薬である。

香りの強い揮発性のある生薬は、鼻や肺など上部に作用しやすい。たとえば、花びらや、蕾など、香りのある生薬を煎じると、その匂いだけで鼻のつまりが通ることがある。

さらに、ワサビを食べると、鼻にツーンと独特の刺激がくるように、辛味のものにも鼻を通じさせる作用がある。

このように、花びらや蕾など体の上部に作用する生薬や辛味の生薬が、膿汁を排泄して鼻のつまりを適し、鼻粘膜の炎症を改善してくれる。

耳鳴りには腎を強化する生薬を

8月 31st, 2009

耳鳴りについては、現代医学では原因がよくつかめず、根本的な治療法も確立されていないのが実情である。

漢方医学では、五官(鼻・目・口・舌・耳)と五臓には一定のつながりがあると見ており、耳は腎と関係の深い器官と考えられている。漢方の古典『黄帝内経』 には、「腎は耳に通じる」「腎が健康なら、五音を聞き分けることができる」との記述がある。

言い換えると、耳の状態は、腎の健康状態を表しているともいえよう。

この場合の腎には、現代医学でいう腎臓の働き以外に、内分泌(ホルモン)系、脊髄、脳の働きまでをひっくるめた、幅広い意味がある。「腎は精を蔵す。精は髄を生じ、脳は髄の海」という漢方独特の考えによると、腎の精は髄を生じ、脳に集まって耳を養うということになる。そして、病気による消耗や老化による腎精の不足から、脳が空虚になり、耳鳴りを引き起こすと考えている。

腎の衰えからくる虚証の耳鳴りは、ジージーとセミが鳴くような小さな音が持続し、まわりが静かになった夜間など、特に気になるといった特徴がある。この他、眠りが浅い、のぼせ、イライラ感といった陰虚陽亢の症状を伴うこともある。

治療は、腎を強化する補腎薬を中心に用いる。腎の精を補う熟地黄や山シュユなど六味地黄丸の成分に、頭部の興奮を鎮めて精神安定作用のある磁石を加えた、耳鳴丸のような処方を基本に、症状によって他の処方や薬物を加える。

痔の出血と痛みに浸膏槐角丸

8月 27th, 2009

中国には「十人九痔」という諺がある。10人いれば、そのうち9人が痔というたとえ話だ。日本人にもけっこう多く、タクシー運転手のような座り仕事の人、出産後の女性などに、痛いお尻を抱えて悩んでいる人が目立つ。場所が場所だけに、つい我慢しがち。慢性化してから病院に駆け込むのは、日本も中国も同じである。

痔の原因はいろいろあるが、漢方では一般的に湿熱と考えている。食べ過ぎ、飲み過ぎ、栄養過剰などによって大腸、肛門の周辺に湿熟がたまり、気血の流れが悪くなるため痔核となって痛んだり、出血したりするというものだ。酒の飲み過ぎや辛いもの・甘いもの・脂っこいものの摂り過ぎ、便秘、下痢、ストレスなども原因になることがある。

西洋医学では、痔の原因を肛門付近の静脈の鬱血ととらえているが、これは漢方でいう瘀血(血の滞り)にあたる。従って痔の存在は、体に瘀血があることの一つの証拠といえる。

日本に輸入されている痔の内服薬としては、浸膏槐角丸がよく知られている。大腸の湿熱をとり、出血を止める槐角と地楡を主薬に、炎症を抑える黄苓、湿を除く防風、局部の療血を改善し痛みを渡和する当帰など6種の生薬からなる丸薬で、早期に用いれば出血や痛み、腫れなどの改善に速効性がある。痔は慢性化すると治りにくいだけに、早めの治療を心がけたい。日頃から、刺激のある食べ物を控え、全身の血行改善につとめることも大切だ。