口内炎は体内の余分な熟が原因

7月 17th, 2009

暑い時期になると、きまって口内炎に悩まされる人がいる。口の中に潰瘍ができたり、舌先が赤く割れてとリヒリと痛む、といった症状を繰り返すことが多い。体質的には、エネルギー過剰タイプの人がかかりやすい。

漢方には、口腔は脾(消化器系)に支配されるという考え方がある。飲食物の取り入れ口の病気は胃腸の異常を疑ってみることだ。口の中の粘膜がただれたり、歯ぐきが赤くはれて痛み、口腔の粘り、口臭、便秘などを伴う時は、胃腸の熱(実熱)が原因となっていることが多い。これは、比較的体力があって、肉類や酒、香辛料を好む人に発症しやすい。実熱の場合には、体内の余分な熟を取り除くことが第一の治療方針となる。漢方処方としては、解毒作用があって、熟をきます力の強い黄連解毒湯を用いる。この実熟に、便秘を伴う時には、三黄瀉心揚がよい。

熱には、もう一つ、身体を潤している体液などの不足から発生する熟(虚熟) もある。やせ型の人、更年期の女性、神経が高ぶりやすい人、慢性病によって体液や栄養物質を消耗している人などによく見られる。虚熱には身体を潤している陰(体液)を補うことによって、熟をさますことが先決である。

陰虚の改善薬としては、六味地黄丸が知られているが、口内炎の場合には、これに熟を除去する知母と黄柏を加えた瀉火補腎丸がよく使われる。陰虚タイプで、さらに熱症状が強く、のぼせや精神的なイライラなどを伴う時は、黄連解毒湯を少量併用するとよい。

夏カゼには水分代謝を高める薬を

7月 9th, 2009

 夏カゼは、冬のカゼとは少し違う症状をみせる。頭重、発熱、鼻水といった一般的な症状に加えて、食欲不振、嘔吐、下痢など消化器系統の不調を伴うことが多い。

 高温多湿な気候の日本では、クーラーの冷えなどによって夏カゼをひくことがあるので注意が必要である。夏はもともと皮膚の穴が開き、発汗によって体温調節を行っている。このとき、クーラーなどで体を冷やすと、開いている毛穴から冷えが入り込
み、夏カゼをひきやすい。

 夏は皮膚表面からの水分蒸発も多く、一方で冷房のきいた室内は空気が乾いていることもあって、どうしても水分を多く取りがちである。

 ビール、麦茶、冷えた果物、冷麦など、日本の夏は体を冷やす食べ物にはこと欠かない。冷たいものの取り過ぎは脾胃(消化器系) の働きを低下させる。水分の過剰摂取が消化酵素を薄めて、消化能力を低下させるということもある。

 脾胃の働きが低下した状態では、体全体の水分代謝もうまくいかず、湿がたまって、夏カゼ特有のムカムカや下痢などの症状に結びつく。

 このタイプの夏カゼには、発汗によって体全体の水分代謝を高め、胃腸の症状を改善する作用のある勝湿顆粒(藿香正気散)がよく使われる。

 夏カゼ発熱やノドの痛みを伴う時には、天津感冒片を併用するとよい。葛根湯のように発汗作用の強い薬は、この時期のカゼには慎重に使ったほうがよいだろう。

生脈散が糖尿病の症状改善に効果

6月 27th, 2009

 日本の糖尿病患者は、一説によると600万人を超えるといわれ、この30年間で約100倍に増えた。21世紀には、成人の4人に1人が糖尿病を患うともいわれ、まさに国民病の様相を呈している。

 経済の豊かさや文明の発達に伴う過食、肥満、運動不足などが主な原因といわれるが、日本でこれほど際立った増え方をみせているのは、ストレスの影響がかなりのウェイトを占めるものと思われる。強いストレスを受けると、グルカゴンやアドレナリン、副腎皮質ホルモンが多量に分泌され、血糖値が上がる。そして、緊張が持続すると高血糖が続き、糖尿病を発症しやすくなるといわれている。血糖が高いと尿量が増えるため、水分が奪われて、口渇や皮膚の乾燥、のぼせ、ほてり感などの漢方でいう陰虚(体液不足)の症状がでてくる。また、相対的にインシュリンの件用が不足するため、糖や脂肪・蛋白質の代謝に障害が起こり、全身倦怠感、脱力感といった気虚(元気不足)症状も出てくる。これは浜方でいう気陰両虚の証に相当する。

 中国で糖尿病治療に、気陰両虚証の基本処方である、生脈散の加減方がよく用いられるのはこのためである。生脈散(麦味参顆粒)中の人参は気を補い、全身倦怠感を改善し、五味子・麦門冬は津液(体に有用な水分)を増やし、口渇を改善する。いずれの生薬にも、緩やかな血糖降下作用があるので、自覚症状の改善だけでなく、一定の総合効果も期待できる。